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鬼子母神名物は、東京屈指の名店 【おせんだんご】

2023.01.03

 前記事の続きで、だんご屋さんに大黒さま… もとい、大黒堂にだんご売り場が――

まさに絵に描いたような門前の茶屋である。
茶屋好きを自認する者としてこれを素通りできようか(いやできない)。


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簡単に説明すると、“雑司が谷七福神”の大黒天を祀る鬼子母神 大黒堂ではおだんごが売られている。その名も「おせんだんご」。
つまりこのお堂、「大黒堂」と「おせんだんご」の二枚看板と考えればわかりやすい。


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栞によると、かつて雑司が谷鬼子母神境内には多数の茶屋・料理屋が立ち並んでおり、いつしかそれらは姿を消したが、一軒の茶屋で売られていたおだんごの復活を望む声が多々聞かれ、それに応える形で大黒堂に店を構えたのが「おせんだんご」。
“おせん”は、鬼子母神に千人の子どもがいたことにあやかったもので、たくさんの子宝に恵まれるようにという願いが込められているとのこと。


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その栞の名義に目を奪われる。
根岸芋坂の「羽二重団子」といえば、向島の「言問団子」、上野の「鶯だんご」(新鶯亭)と並ぶ“東京三大団子”。
鬼子母神のHPには、“株式会社羽二重団子 澤野修一社長のご尽力によりおせん団子が復活”とある。


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思いがけない名店との出会い。
これも七福神のご利益か。


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というか、7年前に確実にこの大黒堂にお参りしているはずだが、茶屋の記憶がない。
そのときの七福神の回り順は今回とは逆に鬼子母神をしょっぱなとしていたため慌ただしくて目に入らなかったか、あるいは「おせんだんご」営業日以外だったか。
営業日は、ネット情報ではだいたい土日祝日および縁日の8・18・28日となっているが、上の栞には“毎週月火定休日”と書いてあるので要確認。


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おせん団子(焼き団子・あん団子各1本)を一つ頼む。
これで1セットだが、お茶を2つ付けてくれた。


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平たいフォルムは、名高い羽二重団子そのもの。
甘さ控えめのこしあんと甘くない生じょうゆの組み合わせがよい。
ただし、「羽二重団子」が一串4つ刺しなのに対し「おせんだんご」は5つ刺しとお得感がある。

――小粒の五つ刺しのおだんごは、安産子育てと子孫繁栄を祈願する意味をこめております。


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「羽二重団子」は1819(文政2)年創業。
前記事でも触れている雑司が谷ゆかりの夏目漱石など文化人に愛されていたことでも知られる。
日暮里の本店のイートインメニューには漱石セット(焼き1本・漱石もなか1個)をはじめ、(正岡)子規セット(焼き1本・あん3本)、(岡倉)天心セット(焼き2本・冷酒グラス)などが。
うぅ… 行ってみたい!


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――「行きませう。上野にしますか。芋坂へ行って團子を食いましょうか。先生あすこの團子を食ったことがありますか。奥さん一辺行って食って御覧。柔らかくて安いです。酒も飲ませます。」と例によって秩序のない駄辯を揮っているうちに主人はもう帽子を被って沓脱へ下りる。
吾輩は又少々休養を要する。主人と多々良君が上野公園でどんな真似をして、芋坂で團子を幾皿食ったかその辺の逸事は探偵の必要もなし、又尾行する勇気もないからずっと略してその間休養せんければ成らん。

(夏目漱石『吾輩は猫である』より)


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[DATA]
おせんだんご
東京都豊島区雑司が谷3-15-20 鬼子母神堂 大黒堂
https://www.kishimojin.jp/guide/moreinfo/other06.html





[Today's recommendation]


https://youtu.be/KKdOGSi4bKo



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吾輩と三毛子



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次号予告


県内唯一の 【妻沼聖天山 歓喜院】

2022.12.11

 日曜日に用事続きで、久々のプチ観光。
そういう予定で前日から考えているが、なかなか行き先が決まらず、朝起きても決まらず、9時になってもまだ決まらず。

Googleマップ上をさまよう視線。
いくら見直しても、知らないお出かけスポットは近場にはないと思うが…。

ふと、ある文字が目に留まった。
“聖天山 歓喜院(妻沼聖天)”とある。
9月に行った坂戸市の道教の宮「五千頭の龍が昇る聖天宮」と字ヅラが似ているから引っかかったわけだが、こちらは純粋にJaponesqueのよう。
地図上で寄ってみると、周りに多くの飲食店も現れる。

そこのところが大事で、名の通った寺社でも門前にそば屋の1軒もないところには魅力を感じない。お寺さんなら日々香が焚き込まれ祈祷の声が聞こえ、かつ絶えず参拝者があってなんぼ。

いちおうググってみる。
“埼玉県唯一の国宝”

40秒で支度しな!


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2時間で到着。

駐車場から入ると左手の山門の立派なことに驚かされるが、右を向くとさらにいくつか門があり、参道入り口はずっと向こうのほうらしい。
参道の側道には食べ物屋さんなどが連なり門前町の様相を呈しており、まるで違う時空に入り込んだかのよう。
上等の観光地の要件を備えており、観光好きの自分がいままでこの場所を見つけられなかったのが不思議だ。

参道入り口まで逆行して、あらためて外門から境内に入り直すという参拝の段取りを踏む。


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外門と貴惣門

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貴惣門(国指定重要文化財)

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中門

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仁王門

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仁王門越しに本殿

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本殿

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本殿(=国宝 御本殿 [歓喜院聖天堂])

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本堂正面の彫刻


「歓喜院」は平安時代末期の1179(治承3)年、長井庄(熊谷市妻沼)を本拠とした武将・斎藤実盛が聖天宮を建立し長井庄の総鎮守としたのが始まりとされる。
中世には源頼朝が参拝したほか忍城主の庇護を受け、江戸期徳川家康により再興されたが、1670(寛文10)年の妻沼の大火で焼失。現存する聖天堂(本殿)は1760(宝暦10)年に再建されたものという。


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2003~11年に修復工事が行われ、2012年に本殿が国宝に指定された(登録名称:歓喜院聖天堂)。


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左甚五郎作とも伝えられる本殿南面羽目板の「鷲と猿」(時代的に無理があるようだが…)


国宝「歓喜院聖天堂」は日光東照宮を彷彿させる本格的装飾建築で、この地はかつて“埼玉の小日光”と称されていたが、国宝指定を機に“埼玉日光”に格上げ? されているとか。


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国宝御本殿観覧は有料(大人700円)。
本殿のぐるり(南面・西面・北面)を見るだけだが、この部分が国宝の神髄であろう。
700円払う価値はある。


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南面

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南面大羽目彫刻「福禄寿と鶴と亀」

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西面

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西面大羽目彫刻「布袋・恵比寿・大黒天による碁打ち」

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北面

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北面大羽目彫刻「毘沙門天・吉祥天・弁財天双六遊び」


2時間前まで存在も知らなかった美のかたちに、ただ息をのむ。

(つづく)


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[DATA]
妻沼聖天山 歓喜院(めぬましょうでんざん かんぎいん)
埼玉県熊谷市妻沼1511
http://www.ksky.ne.jp/~shouden/





[Today's recommendation]


https://youtu.be/bKIybW1YLNc



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次号予告


地場野菜と仕込み水が自慢の 【自然処 玉井屋】

2022.09.19

 去年、福生市の「石川酒造」の蔵見学に行ったとき、歴史的建造物や設備類の展示から製品の試飲、土産物販売、飲食施設まで用意されていて、それはまさに工場見学、それも上級版の…! と思った。
普通の食品・飲料工場に比べ、酒蔵には歴史という付加価値があり、食事処では酒に合わせた和の高級志向を訴求できるわけで。
たとえば「中村屋 中華まんミュージアム」ではそうはいかないという意味で。


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そんな“大人のテーマパーク”、近場でほかにないものか?
当時少し調べてみて、ヒットしたのが「晴雲酒造」だった。
蔵をリノベーションしてつくられた食事処を併設している点がポイント。


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ということで、前記事の続きで晴雲酒造直営食事処「玉井屋」へ。


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蔵の正面左手が前記事の売店、右手に「玉井屋」入り口がある。


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くぐり戸を抜けると前庭アプローチで、右がギャラリー、左が食事処。


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店内は、右にテーブル席、左に座敷席。
先客2組ほどとまだすいており、「お好きな席へ」ということで、座敷へ上がらせてもらう。


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まさに“百年の歴史を感じるたたずまいの空間”HP


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こちらの自慢は、地場野菜と仕込み水。
旬の食材を使った“花・月・雪”3種の御膳が用意されている。

花御膳と月御膳を注文。


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前菜は両御膳共通で、セルフでとってくるシステム。
モロヘイヤとオクラのおかか和え、じゃがいもの煮物、いんげんの天ぷらの3品。
おかわり自由!


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御膳には食前酒が付くが、やはりというか当然、頼んだのは1名分のみ。
その場でボトルからついでくれる。

「えーと、食前酒は奥さま…? ですよね」と店員さん。
「はい。悔しいから買って帰ります(笑)」
「ありがとうございます(笑)」


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やはり共通の飛竜頭がまず出てくる。
特製の飛竜頭旨出汁がけ。消泡剤不使用の地元産豆腐・大和芋・季節の野菜を合わせました


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以上の前菜・飛竜頭に、花御膳はとろろ飯・粕汁・香の物という内容。


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月御膳はさらに“本日の主菜”とデザート(酒粕のブランマンジェ)が付くうえ、ご飯もとろろ飯か季節の炊き込みご飯が選択できる。


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本日の主菜は3種類で、1.豚ロースの晴雲漬けを、ご飯は炊き込みご飯(栗の炊き込みご飯)を選ぶ。


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酒粕の香りに包まれた豚ロースは、こうじの効果でとてもやわらかくうま味も豊か。
粕汁とともに、滋味深き“晴雲”の味わい。


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今季初の栗ご飯。
この栗も地元のものか、感動的なほど大きく立派。


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酒蔵ならではの食事のあとのスイーツは、なおも酒粕の香り豊かなブランマンジェ。
なめらかでちょうどよい甘さに完成度の高さを感じる。


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和紙の街としてしか認知していなかった小川町だが、酒造りの街でもあると上書きされた。
ほかの蔵も気になるし、見るべきこと体験すべきことは、もっといろいろありそうだ。


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「玉井屋」にはブロック塀のくぐり戸から直接も入ることもできる


[DATA]
自然処 玉井屋
埼玉県比企郡小川町大字大塚178-2
http://www.kumagaya.or.jp/~seiun/tamaiya/TOP.html
https://www.facebook.com/tamaiya2005/





[Today's recommendation]

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https://youtu.be/221kvXa2_AA


こんな聖地巡礼 【特一番 聖蹟桜ヶ丘店】

2022.01.22

 30数年前、雑誌の仕事で一日中新宿で街頭アンケートをやらされたことがあった。そのとき取材したC大生女子2人組に「よく遊びに行く街」を聞いたところ、「聖蹟桜ヶ丘」との答え。まったく縁のない街だっただけに、強く印象づけられたのである。こういう知的でセンスよさげな美人さんの行く街… と。



創刊時にテレビCMを打った。そんなCM誰も覚えてない… というか見たこともなかったろうな。


不思議と縁のないままに今日に至り、美化されたイメージの変わるところのなかった聖蹟桜ヶ丘であるが、先日、当ブログにある情報が寄せられた。

――数年前まで、立川や府中に『特一番』という北海道ラーメンのお店がありました。今は聖蹟桜ヶ丘にしか残っていないようですが…

こともあろうにラーメン情報。
わが心の聖蹟桜ヶ丘はいずこへ… ; ̄ロ ̄) !!


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関戸橋より聖蹟桜ヶ丘方面を望む


とまあ、感傷的な気分のままに書き出してしまったが、そんな気にさせる街。
ずっと行ってみたいと思いつつ、きっかけがなかった。
ネタ扱いしてしまったが実のところたいへん貴重な情報であり、日が沈む~(略)さん、いつもありがとうございます。


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コメントをいただいたときは気づかなかったが、「特一番」という字ヅラには見覚えがある。府中の駅近くにあった老舗然としたラーメン店で、たしか伊勢丹(フォーリス)にも出店していた。
食べ歩きみたいなことを始めてから、そういえば… と(Googleマップで)散々探したが見つからず。府中駅前の大規模再開発で姿を消したお店の一つである。


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地図を見ると聖蹟桜ヶ丘は新府中街道(鎌倉街道)を真っすぐ下ればよく、距離的にもよく行く西荻窪や石神井公園と同程度と意外に近い。


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“聖地”は山のほうだと思う


駐輪場に自転車を止め、某アニメの聖地でもあり散策も考えたが、どうしても街がいまどきすぎて、普通すぎて…。
とりあえず駅前の様子を観察したあと、PCで見たGoogleマップ(現地でスマホを見ない)の漠然たる記憶で大ざっぱな方角に歩くと、すぐにお店は見つかった。


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イメージしていたのと違ってこざっぱりした外観である。


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ちなみに「特一番」はWikipediaにも項目が立っている重要案件で、北海道ラーメンでもルーツは札幌ではなく旭川。
東京では府中を中心に展開し、聖蹟桜ヶ丘店は1969(昭和44)年創業と。


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注文は、“一番人気”と書いてある味噌バターコーンらーめん。


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普段、バターやコーンを頼むことはないが、旭川ということで思うところあってあえてそうしてみた。


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強く縮れた麺が特徴的で、札幌系の某製麺所のものに近い印象。
みそスープはマイルドで優しい印象だが、後味にニンニク臭がかなり残る。


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…と、特段に書き記すところのない普通のラーメンだが、それでいいと思う。
創業50年強の味は、ハコが多少こぎれいになったとしても、そう変わるものではないと。


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このお店にも映画のパネルがある。
やはりこの街は山のほうまでちゃんと歩いてみたいと思った。


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[DATA]
特一番 聖蹟桜ヶ丘店
東京都多摩市関戸1-11-5





[Today's recommendation]

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https://youtu.be/DxpOFCcBkww


https://youtu.be/dbASJ52VaBQ


老舗和菓子店の一番人気は? 【井筒屋】

2021.12.02

 去年のコロナ初期、未知の病原体への恐怖に支配され外食はもとより日々の買い物もままならないなか、食べ物のブログなどやっていることに罪悪感を覚えつつ、感染状況に応じ変化する行動規範を逸脱しない形でブログを維持するべく試行錯誤を繰り返していた。
オムニバス形式の記事もそんな工夫の一つ。


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去年5月に「原色あんドーナツ図鑑」というのがある。
7店のあんドーナツをピックアップする形で、いまから思うと、このブログで原則としている1記事1店では密閉・密集・密接な印象を与えかねないことへの配慮から分散化を図っている。


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そんなケースはほかにもあって、状況が落ち着いたらちゃんと記事にしてみたいと思っているお店も多数。


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立川シネマストリートの「井筒屋」。
創業1933(昭和8)年の老舗和菓子店でありながら、一番人気は和洋折衷のあんドーナツ。
あんドーナツでは東京でも屈指の有名店である。


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なお、アニメ『聖☆おにいさん』に登場したいわゆる聖地であり、アニメによる地域振興を図る“とある”自治体的には、こちらは重要なコンテンツと思われる。


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※許可をいただいて撮影


引き戸を開けて入店すると、左手のテーブルセットで高齢のご主人が舟をこいでいらっしゃる。
声をかけるのが忍びないほど気持ちよさげ (^ ^)


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あんどーなつの番重が3つも!


「いやー、寒くなりましたね」
って、風邪ひかないようにしてくださいね (;^_^A


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あんどーなつ2個だけ買うつもりだったが、ショーケースの見事な品ぞろえにあれもこれもと…。
なんとか追加は酒まん1個にとどめて…。


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「あんどーなつ、おいしいよね♪」とご主人。
そのモチベーションで、ずっと続けてこられたのかなと。


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あんどーなつ、おいしかったです♪


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[DATA]
井筒屋
東京都立川市 曙町2-28-11
https://www.annex-tachikawa.com/tach1067/





[Today's recommendation]

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https://youtu.be/3K27AmNo-XI



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東村山中央公園


お酒好き要チェックのテーマパーク―2 【食道 いし川】

2021.06.27

 前記事のつづきで――

腹が、減った……


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石川酒造の敷地内には、酒と活魚の食事処「食道 いし川」と、日本酒・クラフトビールがそろうイタリアンレストラン「福生のビール小屋」がある。
…と、さも知ったふうな口の利き方だが、下調べをしない流儀なので(笑)、現場では「フンフン?」とか「ヘー!」とかリアクションしてるわけで。
あ、食べるとこあるんだ。せっかくだから食べていこうか… みたいな ( ̄ω ̄;)


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ただ、この酒蔵をひと通り見て回って受けた印象からすれば、どれもこれも間違いないように思える。
飲食施設はどちらも11:30開店だが、5分前ぐらいにフライング気味に開いていた「いし川」に、流れのままに入店。


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こちらは1898年建造の「雑蔵」という建物で、国登録有形文化財。
1階が「食道 いし川」、2階は史料館となっている。


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注文は、ランチメニューから塩麹で漬けた唐揚げ定食と、本日の限定ランチからばらちらし。


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梁が高い土蔵の趣を生かしたつくりで明治時代へのタイムスリップ感が味わえる一方、水槽にお魚を泳がせ活魚居酒屋ノリで日本酒へいざなおうという演出もぬかりない。


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唐揚げの塩麹は日本酒の蔵人が造った麹をもとにつくられている。こういうすべて自家製、全部本物… というのが、この施設のすごいところだと思った。


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うま味豊かながらキレのある味付けといったところ。肉のうまさが引き立ちます。


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ばらちらしのネタは、マグロ(赤身・中トロ)、青魚、タイ、キンメダイ、アジ、タコ、エビ、玉子…。


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シャリも多いがネタも惜しみなくふんだんで、高級魚キンメダイでも「これでもか」というくらい盛ってある。


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思うにこのばらちらし、ランチメニューの極上海鮮丼やら特選刺身定食やら特上握り寿司やらで出た刺し身の端切れなんかが使われているんじゃないだろうか。それで限定2食。
鮮度抜群、ボリューム満点の超お得メニューです。


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この感謝Dayの趣旨は地元還元ということだと思うが、サービス精神が地元という枠にとどまっていない。見据える先が違うのだろうと感じた。


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[DATA]
食道 いし川
東京都福生市熊川1
https://www.tamajiman.co.jp/
https://www.facebook.com/tamajiman/
https://twitter.com/tamaji_man
https://www.instagram.com/ishikawabrewery/





[Today's recommendation]

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https://youtu.be/xCqWH9bKzQE


お酒好き要チェックのテーマパーク―1 【石川酒造直売店 酒世羅】

2021.06.27

 とあるメールマガジンで石川酒造のイベント情報を見つけた。
毎月4週目週末は感謝Dayとのことで直売所などでさまざまなサービスが用意されているが、特にこのタイミングで目を引くのが送料無料キャンペーン。お中元が送料無料になるのはかなりうれしい。酒蔵見学も兼ねるので観光要素のポイントも高い。
27日(日)に出かけることにした。


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普通、車で行くような距離感だが、目的地は酒蔵である。車で出かけて後悔するシーンが多々予想されるわけで(試飲とか…)。車でラクするのと試飲とどっちを選ぶかと聞かれれば、迷わず「試飲!」と答えるワタシ。


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当日、台風と梅雨前線の影響で予報は雨だが、朝降っていないので酒飲みの本能の赴くままに電車で出かける。乗り換え1回・片道20分強と、実は電車の便も悪くないのだ。


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西武拝島線拝島駅から徒歩20分。


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福生市熊川の石川酒造は創業150余年。東京に残る数少ない酒蔵の一つである。


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銘酒「多満自慢」で知られるが、明治期にはビールづくりにも挑んでおり、1998年に「多摩の恵」の名で111年ぶりにビール醸造を復活させている。


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敷地内には国指定登録有形文化財の建造物が6棟あり、和の食事処、ビアレストラン、直売所などを併設。
“酒飲みのテーマパーク”をコンセプトに常設の観光施設として開放されている。


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長屋門(国登録有形文化財)

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雑蔵(右、国登録有形文化財)

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「福生のビール小屋」

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麦酒釜の館


直売所「酒世羅」へ。
“さけせら”と読み、英語で“Sake Cellar”と表記する。


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「多満自慢」の各定番ブランドや季節限定品、クラフトビール「多摩の恵」「TOKYO BLUES」がズラッと並び、壮観。
酒器や小袋、酒粕クッキー・あめ、酒粕石けん・入浴剤… と品ぞろえも豊富で、見ているだけで楽しくなる。


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が、“試飲中止のお知らせ”の掲示。
がーん ( ̄▽ ̄;)!! ガーン


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許可をいただいて撮影


多満自慢の人気銘柄「雄町」純米吟醸生原酒四合瓶とビール4本(「TOKYO BLUES」3種+「多摩の恵 明治復刻地ビール」)を詰め合わせにしてもらって仙台の友人に送る。
家飲み用にも同じ「雄町」とビールを2本購入。


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外では感謝Dayの一環として限定ビール&樽酒の量り売りが行われていた。
「多摩の恵」ヴァイツェンを買って敷地内の井戸裏スペースへ。


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井戸とは昭和30年代まで使われていた仕込み水の井戸で、樹齢700年超の御神木に守られ、横には明治期に使われていたというビール醸造用の大釜も展示。
その裏が井戸枠や大がめをテーブル代わりに使った休憩所になっている。


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苔むした木々に囲まれ堀を流れる清らかな水音を聞きながら飲む蔵出しの一杯。
こたえられません。


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時刻は11:20。
ビールが呼び水となリ、一気に空腹感が…

(つづく)


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[DATA]
石川酒造 直売店 酒世羅
東京都福生市熊川1
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https://youtu.be/cGnZHIY_hoQ


心のよりどころ 【龍巳うどん】

2021.05.13

 いまやっている仕事の一つはかなり厳密に期日が決まっていて、今月は17日月曜日がおしり、仕事用語でいうと校了日だ。現実には今日明日でほぼ終わらせないといけない状況だが、動きが鈍く大丈夫か…? と気をもんでいたら、いきなり動きだした。まだ明日もあるから今日はこれくらいでいいんじゃないの…? と思っても止まらず、今日中にけりをつけようという勢いなのだ。そういう工程上のゆらぎのしわ寄せはすべて僕のところに来る仕組みになっているから非常にストレスフルなのである。


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気晴らしに歩いて昼ごはんを買いに。


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高架化工事の巨大クレーンのあたりに旧店舗があった


「龍巳うどん」はいろいろあっていまの「龍巳うどん」になっているが、そのいろいろの一つが西武鉄道の「新宿線東村山駅付近連続立体交差事業」(高架化工事)。
線路沿いから道の反対側のいまの場所に移転している。


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店名変更後も変わらず繁盛しているようで、けっこうなことだが、混むのが苦手な僕は移転後店内で食べたことがない。すっかり“持ち帰りの店”になっちゃってる。
それもこのあたりのうどん文化の一側面で、このお店は今も昔もテイクアウト用の小窓のあるつくりなのだ。図らずもコロナ禍にマッチしていると。


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注文は3L 天付肉汁。


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毎度のおさらいだが、“L”とは「きくや」系共通のカウント法で、L=3玉を起点に、LL(4玉)、3L(5玉)、4L(6玉)、… と増えていく。3玉がベースということからもわかるように、1玉の量は多くない。


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半年ぶりの来店で、この間大きな変化があって、つゆ用のカップが付いてきた。


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それまではただビニール袋に入っていたんだが、考えてみればそれだと外で食べられない。
車等でカップ麺食べてる人っていますよね。ああいうニーズへの対応?


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久々の地元系うどんだからか、いつにもまして地粉の香りが強く感じられる。
店舗や店名が変わっても、たぶん変わらぬ味わい。
激動の時代、地域の人々の心のよりどころもいえる存在に違いない。


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[DATA]
龍巳うどん
東京都東村山市野口町1-4-66





[Today's recommendation]

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https://youtu.be/Yy2uHAS-el0


荻窪ラーメン源流の味 【中華そば 丸信】

2018.12.24

 『本屋、はじめました』(苦楽堂刊)の題材である、著者・辻山良雄氏が実際に開業した新刊書店「Title」をのぞきに行こうという。
場所は杉並区桃井1丁目の青梅街道沿い。
寒風吹きすさぶなか、西武新宿線・井荻駅から歩いて向かう。が、お店は開いていない。
時刻は11時50分。12時開店のもよう。


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それじゃ、まず街に出て昼ごはんを食べ、帰りに本屋に寄ろうということになった。
ちなみに「Title」はギャラリー、カフェ併設型であり、機会を見てカフェを利用してみたい。


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繁華街となると西荻窪か荻窪だが、もうそこから四面道交差点の案内標識が見えているので、荻窪は意外に近そうだ。
そして、四面道で思い出したお店がある。
かつて東京ラーメンの中心地であった荻窪を代表するラーメン店「丸信」。


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荻窪・丸信といえば、東京のラーメンの歴史そのものともいわれる“丸長のれん会”の最古参。創業1950年の老舗である。
以前は荻窪に2店あったが、拡張前の駅前ロータリーの店は1991年に閉店し、いまは四面道近くの店のみとなっている。


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学生時代の記憶であるが、年末に帰郷するでもなく高校時代の友人で大学も同じになったKE君とこのあたりをぶらついたことがある。当時、彼は中野、僕は吉祥寺に住んでいたので、間をとって荻窪ということだったのかな…? 


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駅前広場のしょぼい風景に、家族と離れて年末を過ごす不安感を募らせたものだ。
そのとき食べたラーメンが駅前の「丸信」だった。

その記憶から、年末の今日、「丸信」に引き寄せられたのかもしれない。


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席数は4人掛けテーブル3卓とカウンター6席。
キツキツに席を配置することなく遊休地の多いホール図面は西早稲田の「伊勢屋」や淡路町の「近江屋」を思わせ、昭和感漂う。


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注文は、味玉ラーメン770円とワンタンメン810円。


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「丸信」は作家・椎名誠の好きなラーメンとして知られる。

――中央線・荻窪駅前の「丸信」というちょっと立ち喰いそばふうのラーメン屋が一番うまい! と思っている。(中略)荻窪地区ではこの丸信と同じ一角にある「春木屋」というのが有名で「荻窪地区のうまいラーメンは?」というと、この春木屋が「あっどうも、まいど」というような妙に手慣れた顔つきで登場するのである。これがじつにくやしい。(椎名誠、『気分はだぼだぼソース』(1980)より)


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「春木屋」には大行列が


当時はそれに、(青梅街道沿いの)「丸福」を加え駅前三国志状態だったが、その後「丸信」はロータリー拡張に伴い、「丸福」はいろいろあってそれぞれ閉店し、「春木屋」が天下統一を果たすわけである。それもだいぶ古い話だが… σ( ̄、 ̄=) ウーム…


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ラーメンは昔ながらのあっさりしょうゆ味。節系の香りの広がるだしに、少し甘味のあるかえし。
中太ゆるウェーブの麺が特徴的で、軟らかいようでいてしっかりコシがあり、例えが適切かどうかわからないが、うどん系の乾麺のような感覚(僕は白石温麺を思い出した)。小麦の風味が強く、かん水臭さを感じないということかと思う。


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色の濃いしっかり味付けされたメンマは「丸福」を思い出させる。ワンタンは餡が少なめだが皮がおいしく、ツルッとのど越しがよい。味玉は予想外の半熟。


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平成最後といわれても何の感慨も湧かないが、昭和最後のころの年の瀬の風景は、ラーメンの味とともに感傷的に思い出されるのである。


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[DATA]
中華そば 丸信
東京都杉並区上荻1-24-22





[Today's recommendation]

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https://www.youtube.com/watch?v=yHTqP5s12eg


昭和の喫茶店の上位互換的な…? 【カフェアンドパスタ ピーペ】

2018.10.08

 西武多摩湖線の一橋学園駅北口を出て踏切の道(学園中央通り)を渡る。
そのまま北に延びている昭和レトロな街並みが、学園一番街~学園坂の商店街。
途中、なだらかな坂の下り始めるあたりを右に入ると、レンガ積みや石貼り壁にアイビーの絡まる趣あるお店。
「Pipe CAFÉ & PASTA」のプレートが下がっている。


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学園東町1~2丁目は東西に真っすぐな道が5~6本走っている、極端にいうとただそれだけ区画で、よくいえば閑静な住宅街。
商店街を少しそれただけで商業施設はほとんどなくなる。
ときどき通過する以外に用事はない。


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だからというわけでもないが、ひと目見たら忘れられない昭和の喫茶店好きの心くすぐられる外観のこちら「ピーペ」の存在に、つい最近まで気づかなかった。
その隠れ家感も魅力のうちではあるが。


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日曜定休なのでなかなか訪れる期間がなかった。
春先に一度入ろうとしたが、2時すぎで食事タイムは終わっていると言われ断念。
祝日の本日、近くに用事のついでにあまり期待しないでのぞいてみたら営業していた。


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ということで営業時間をまとめると、
・11:30(土・祝12:00)~14:00 ランチタイム
・14:00~15:00 コーヒータイム
(休憩)
・17:00~20:00 ディナータイム
となる。


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外観から想像されるとおり、落ち着いて雰囲気のある店内。
暗めの照明、グレージュの壁に渋い天然木の調度。


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テーブル席が2人掛け×3、4人掛け×4、カウンター5席。
奥の一段高くなったスペースのテーブル席へ。


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男性店主1人で回しているらしく、客が5人とはいえ忙しそうだ。


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スパゲティランチからツナ・ベーコン・キャベツのスパゲティ(塩味)、パニーニのメニューからトマトとベーコンのパニーニを注文。


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まるで昭和の喫茶店にタイムスリップしたような雰囲気だが、違っているのはタバコの煙がないこと。
テーブルには灰皿が備えてあるので禁煙というわけではなく、時代の変化だと思う。あるいは、たまたま。


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僕らのほかに、若めの女性1人、若くない女性2人組。上品そうな客層も喫煙率に関係しているかも… といったら語弊があるか(笑)。
ちなみに店名Pipeはフランス語で(タバコの)パイプ… というより、ショートパスタPipe Rigateからとってるんだろうな。


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細めのパスタはゆで上げアルデンテ。


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塩味だがツナのうま味が濃厚で、キャベツとの組み合わせはまさに鉄板。


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サラダ、コーヒー or 紅茶付き950円。


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パニーニは、パリッとしてサクッとして、チーズがとろーり。
さりげなくトマトソースが効いている。


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案外ボリュームがあり、これでサラダ付き650円はオトクだ。


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昭和の喫茶店とのもう一つの違いは、料理の質かな。
こんなにおいしいスパゲティは昭和時代には存在しなかった、と思う。


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[DATA]
カフェアンドパスタ ピーペ
東京都小平市学園東町1-8-7-1





[Today's recommendation]


https://www.youtube.com/watch?v=5GBH3K-ZAU8



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