梅雨時散歩の流儀は 【キッチンブラウン】

2019.06.23

 昨日(22日)の柳沢は天気予報にだまされて自転車で行き、ずぶぬれになった。
雨がひどいので公共施設等で雨宿りして、もう上がったかな…? と走りだすともっとひどく降ってくるという急性雨男症候群。

今日は相方が東小金井に用事があるというので花小金井から歩いていくことにした。
空模様は相変わらず不安定ではあったが、昨日ほど降ることはないだろうという脳天気なヨミは見事に外れ、駅舎を出たとたんポツリポツリと。
雨宿りした「ピーコックストア」は駅からわずか170mという (ーー;) ウーム…


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その第一波をやり過ごし、シティテラス小金井公園→小金井公園→よこみち横丁… みたいなルートで東小金井へ。
北大通りのあたりで再びポツリポツリ。
相方の目的地は駅直結のコミュニティステーション東小金井内「atelier tempo」。僕の考えていた昼ごはん候補の一つ「キッチンブラウン」はすぐそこで、先に食べようかということになった。
天気やら何やらに行動方針や入る店が左右されるのはいつものこと。


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「キッチンブラウン」は、このかいわいにいくつかある(あった)味のあるたたずまいの洋食店の一つ。


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予想外の激セマ物件で、カウンター席2カ所(4席+3席)と4人掛けテーブル1つのみ。よってテーブル席はあらかじめ「相席となります」と書いてある。
はじめテーブルに通され、カウンターが空いたところで「よろしかったら…」とお店のおばさま。お言葉に甘えて移動。


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注文は、カニクリームコロッケ・ビーフシチュー950円とチーズ焼ハンバーグ・豚しょうが焼900円(どちらもライス・サラダ・みそ汁付き)。


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こういう洋食店は2~3種類の盛り合わせ主体のメニュー構成であることが多く、2人で入るときはなるべくかぶらない組み合わせにする。
より多くの料理を味わおうという欲張りな性格なのだ。


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カウンター席からはコック帽のご主人の仕事ぶりがよく見える。大火力のバーナーで熱した鉄板に調理したものを盛り付けていくスタイルだ。
注文間違えた… みたいなやりとりも聞こえてくる。おばさまの親身な接客といい、客一人一人に誠実に相対する店なんだと思う。そのためにはこのくらいの店舗サイズがぎりぎりと。


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どちらのプレートも、パッと見、茶色い。
店名となっているブラウンソース… というかドゥミグラスソースがふんだんに使われているからだ。


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ハンバーグソースとビーフシチューはベースが同じだと思うが、時間をかけて煮込まれたような濃厚な味わい。
野菜の甘味が強く、洋酒系の香りがアクセントとなっている。


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ハンバーグはふんわりタイプではなくみっしり重量感のあるもの。カニクリームコロッケも重めのクリーム。
イマ風ではないかもしれないが、質実剛健な感じがよい。


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食べている間、激しく降っていた雨は、店を出るころには上がっていた。
雨宿りに入ったのは思ったよりずっと素敵なお店。
梅雨時の散歩も悪くない。


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[DATA]
キッチンブラウン
東京都小金井市梶野町5-6-11



[Today's recommendation]

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◆ 猫写真はこちら その1 その2 その3




https://youtu.be/D1ZYhVpdXbQ






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ネジバナ カラスビシャク (小金井公園)



 コダイラブランドの銘品

2019.06.23 玉川屋/東京都小平市鈴木町2-175

最初に雨宿りしたピーコックストアには地元の和菓子屋「玉川屋」のコーナーがあり、ときどき利用している。
「玉川屋」は“コダイラブランド”ブルーベリー商品のリーダー的存在。特にブルーベリーあんドーナツは銘品で、手土産に使ったこともある。


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コーナーを眺めていると「玉川屋」のおかあさんが商品の補充にやって来た。
お話を伺ったところ、ブルーベリーが丸のまま入っているのはブルーベリーあんドーナツとブルーベリー大福だけとのこと(ほかはジュースが餡などに練り込んである)。その2品を2つずつ購入。
これもまた、雨降りのちょっとした僥倖。


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売り切れ御免の荻窪名物 【高橋の酒まんじゅう】

2018.11.21

 腹が減っているときに甘いものを見たり思い浮かべたりすると無性に食べたくなる。
これまで、甘いものが嫌いなわけではないが、わざわざ食べるということはなかったので、嗜好が変わったのかも。
酒量は変わらないので、大酒飲みのスイーツ男子と。なんという美しくない響き… ┐( -"-)┌ フウ…

五日市街道吉祥寺東町あたりを走っていて、いきなり「高橋の酒まんじゅう」が食べたくなった。
1時近かったので、(時間的に)微妙… と思いつつも荻窪へ。


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1時24分到着。
お店の外に、外観写真を撮っている若い女性… というくらいの人気店。


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商品は酒まんじゅうオンリー。
受け渡し用の間口しかないごくごく狭い店内では、ショーケースの上に5個入りのビニールパックが載っている。
長女が旅行中なので5個では多い。
「何個から買えますか?」と聞くと、「1個からでも大丈夫ですよ」とおばさま。
「3個お願いします」
「お包みしますのでお待ちください」
と、おばさまは目の前の5個パックを手に奥へ。


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年配女性が入ってきた。
僕の包みを持って出てきたおばさまがおばあさんに、
「すみません、2個しか残ってないんです…」
えー!? さっきのは最後の5個だったのね… という光景が、この時間帯は毎日繰り広げられる。


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お店を出ると、入れ違いにさっき写真を撮っていた女性が入っていった。
まだ買ってなかったのか…
1個分けてあげればよかったな… と、ずっとあとになって思った。


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[DATA]
高橋の酒まんじゅう
東京都杉並区天沼3-1-9



[Today's recommendation]

Germaine Tailleferre Cristina Ariagno
Germaine Tailleferre
『Fleurs de France』
Cristina Ariagno(Pf)

https://www.youtube.com/watch?v=5YeAmOCBpMc



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◆ 猫写真はこちら その1 その2



 野生ランの名花2種


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アマクサコラン(天草小蘭、Cymbidium koran)  ヘツカラン(辺塚蘭、Cymbidium dayanum

日本には75属230種のラン科植物がある。
観賞価値の高いものが多く、エビネ属(Calanthe)、セッコク属(Dendrobium)、シュンラン属(Cymbidium)など、古くから盛んに栽培されている。一方、乱獲により野生絶滅状態の種も少なくない。
アマクサコラン(天草小蘭、Cymbidium koran)、ヘツカラン(辺塚蘭、Cymbidium dayanum)は、ともに九州の一部の地域に自生する。
(撮影して1カ月以上も掲載を忘れていた。時期がずれたが、貴重な花なのでとりあえずここに貼り、ころあいを見て正しい日付(10/11)に移動予定)


卸直営 おいしくお得な市場食堂 【海鮮市場食堂】

2018.04.26

 サシミが食べたくなったので市場へ行く。
といっても、マグロを競り落としてさばいて… という話じゃなくて、市場の食堂でちゃんと定食になってる。市場といっても築地や港町に出かけるわけじゃなく、自転車でちょっとの距離にある。


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東久留米卸売市場(得得市場)は2014年6月リニューアルオープン。
市場内には2店の食堂があって、市場開業時に「市場のおばちゃん食堂」が、その半年後の2014年12月に「海鮮市場食堂」がオープンした。


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キンラン、ササバギンラン(多摩北部医療センター)


海鮮市場食堂は、市場の卸売業者である東京北魚株式会社の直営店。
魚のプロ中のプロによる運営であり、ネタのよさには定評がある。


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実は2日前に訪れているが、1時半の来店時にはすで閉店していた。といって、12時台のピーク時だと行列ができていたりする。
自分には刺し身の皿を持って行列に加われるほどの根性はないので、時間の見極めが難しいのだ。


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“サシミの皿もって”問題について。
このお店のシステムはちょっと変わっている。

定食の場合、まず表の冷蔵ケースからセルフでおかずの皿を取り出す。
次に、入り口の券売機で自分がピックアップした皿に対応する食券を購入する。もちろん先に食券を買ってもかまわない。


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席に着いて食券をおねえさんに渡す。おねえさんでなくおばちゃんのこともある。
ご飯とみそ汁と小鉢のセットが提供され定食が完成する、というシステムである。

なので、席が空いていないとサシミの皿を掲げて通路に呆然と突っ立たされるはめになる。


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ころあいと予想して1時に来店。客入りは3割くらいと、ちょうどころあい。


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ただし、ネタケースが寂しい。時間が遅いとこういう問題が生じるか…。
狙っていたさしみ定食980円は1皿しかない。1皿だとどうしても残り物感が漂って、鮮度も悪そうに映ってしまう。


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ということで、まだたくさん残っていて、それは人気の証しのように思える三点盛定食620円に。


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三点盛りは、ネギトロ、ブリ、イワシ。


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市場のHPには「当店は天然本マグロを使用しております」とある。
北魚で仕入れたマグロを食堂に卸していて、ネギトロは中落ちなどの端材が使われている。その量がすごく、普通のネギトロ丼分くらいは十分にありそうだ。
つまり、ネギトロ丼に別皿でブリとイワシの刺し身が付いて620円、と見なすこともできる。
コスパ、おそろしく良好。


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なにしろ刺し身の量が多く、自分の感覚ではご飯の量との釣り合いがとれていない。普通に食べていたら刺し身を半分くらい残してご飯がなくなってしまう。
すると、目の前の柱に“おかわりは現金で”の文字を発見。ごはん100円、お味噌汁・半ライス50円。
カウンターの中のおねえさんに「半ライス」と注文。これでちょうどよいバランスになった。


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お店を出てすぐ、ものすごい満腹感に襲われる。
バランスを重視するあまり、絶対量というものに気が回らなかった。明らかに食べすぎ。
とはいえ、酒飲みではあるがサシミにはとにかくご飯、という人なので、次に同じものを食べたときおかわりを我慢する自信がない。
悶々とする食堂であった。


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[DATA]
海鮮市場食堂
東京都東久留米市下里5-12-12 東久留米卸売市場
http://ibeam.sakura.ne.jp/tokutoku/?page_id=887



[Today's recommendation]

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TLC
『CrazySexyCoo』

https://www.youtube.com/watch?v=8WEtxJ4-sh4



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ハイレベルな麺、兄弟対決 【むぎきり】

2018.04.15

 1653年に築かれた玉川上水のうち、特に中流部(小平監視所より下流の開渠区間)は、古い樹木が残り、豊かな木立に覆われている箇所が多い。
その林下には貴重な植物が生育する。

このあたりではめったに見られないフデリンドウの自生地があり、もしかしたら… と行ってみたらちょうど見ごろだった。
希少植物には盗掘問題が付きまとうが、フデリンドウは2年草で花をつけた株は残らないので、掘り上げても意味がない。


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フデリンドウ(左) キンラン(右)


これまで知らなかったが、そのあたりはキンランが多かった。ほかにホウチャクソウやニリンソウなども見られる。ニリンソウは早春、キンランは連休明けのイメージなので、同時に咲いているのは変な感じ。今年のキンランは異常に早いのだ。
たいへん見栄えのする花ではあるが、キンランはラン菌と呼ばれる共生菌への依存度が高く、鉢上げはもちろん地植えでも栽培は不可能なので、掘り上げても意味がない。

基本的に植物の盗掘はよくないことだが、このように科学的根拠に基づいて意味のないことは、本当に意味がないので、やめましょう。


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お昼ごはんは一橋学園駅近くの人気うどん店「むぎきり」へ。


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翡翠麺で有名な「なにや」のお隣で、両店の店主がご兄弟というのは有名な話。
志垣太郎とご兄弟のスリーショット写真が張ってある。四半世紀の彼方の案件。


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客層は幅広く、右隣に3世代の家族連れ。僕らのすぐあとに入ったその人たちは、「なにや」が休みでスライドしてきたのだ。
注文を聞きに来たホール係のおばちゃん、「今日はイベントやってるからカレーはないの」と。隣が休みなのもそのイベントと関係あるのかな?


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ほかには、ウォーキングもしくは自転車と食べ歩きを絡めた感じの“通っぽい”中高年おやじ、など。武蔵野うどん人気店でよくあるパターンだ。


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麺ゆでは若き2代目。
ホールのおばちゃんはけっこう年季が入っていて、厨房にも同年代のおばちゃんの姿が認められる。
しかしこの空間に君臨しているのはどちらのおばちゃんでもなく、若いおねえさん。厨房もホールもコントロール下に置いて、おばちゃんの細かい動きまで取り仕切り、自らも適宜効果的に給仕に加わる。


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注文は、手打うどんの大もり730円と野菜天900円。「温かいのもできますが」と聞かれ、相方の野菜天を“かけ”に。
このあたりのうどん屋は、大盛りといったら本気で多いことがあるので迷ったが、たまたまお帰りの先客のお勘定がそのように聞こえてきたのでつられた。


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左隣の若い男性のもとにサービスセットなるものが来て、のぞくと田楽が付いている。
「なにや」同様、こちらも物販コーナーがあって、ちょうど田楽みそがおいしそうと話していたところだった。
そのセットは気づかなかったな… とモヤモヤする。


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出てきた大もりうどん、やっぱり量がすごかった。


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捏ね鉢を小さくしたような器にこんもりと。
食べ終わるあたりで気づいたが、底にすのこもなく、見たまんま、ごまかしなしにすべてうどんだった…。


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野菜天は、れんこん、いんげん、にんじん、かぼちゃ、しいたけ。


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ほかのお客さんのオーダー状況を見ると、エビ天を含む盛り合わせがよく出ている。エビ天が大きくおいしそうだ。
だけど、武蔵野系のうどんには、根菜を主体にした天ぷらがいちばんだと思う。
水できっぱり締めてある強烈なコシの“もり”もいいが、“かけ”にすることで温まったうどんは香りがよく立つ。


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お店を出ると、なぜか支度中の札になっている。
よく見ると、「麺売り切れのため終了いたしました」と。
時刻は12時46分。
まさに人気店の実力を見た


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[DATA]
むぎきり
東京都小平市学園西町1-26-26



[Today's recommendation]

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The Allman Brothers Band
『Brothers and Sisters』

https://www.youtube.com/watch?v=jUTORC4eoGc



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街道筋の、辻の茶屋 【お食事処 オアシスかどや】

2018.04.07

 朝のNHKニュースの首都圏コーナーで、
「絶滅のおそれがあるクマガイソウの花が埼玉県所沢市で見ごろを迎えています」
との報道。
さっそくググる。

場所は所沢市中富の「牡丹の寺 多聞院」。所沢といっても端っこで、敷地の隣は三芳町という位置だ。
そのあたりは昔、自転車でときどき走っていたので、なんとなくイメージできる。物流センターや倉庫が並び大型トラックが多く、きわめて自転車に優しくないエリアである。


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「所沢市のクマガイソウは、今月15日ごろまで楽しめるということです」
とNHKアナウンサー。
一昨日のカタクリの件もあるので、行けるうちに行ってみることにした。


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――多聞院の境内には、所沢市観光協会の花の名所づくりの一環として、牡丹が植樹されました。毘沙門天の化身である寅に願いを請う、毎年5月1日に行われる寅まつりの頃、500本を超える牡丹が色とりどりの大輪の花を咲かせます。
――4月中旬から下旬にかけて、ボタンで有名な多聞院の境内ではクマガイソウも見られ、様々なお花が春を感じさせます。(所沢市HP


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寺が近づくにつれ、普段歩行者がいるとは思えないダンプが行き交う道の端を歩く人が増えてきた。圧倒的に年配女性が多い。
「今朝、NHKでやってた」と聞こえてくる。
われわれと同じ行動パターンだが、情報強者とは思えない人たちのもとにも速やかに二次情報まで行き渡っている不思議。
それ以上に、こういうタイプの人たちの行動力と機動力には驚かされる。


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クマガイソウの群生は“庭の花壇”というつくりなので、期待ほどではなかった。これなら神代植物公園のほうがまだ趣があるかも。
でもこれだけの数を(タダで)見られることはそうそうないので、貴重ではある。


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上の引用にある寅まつりのころに行われる “身がわり寅”の風習がおもしろい。毘沙門天の化身とされる寅に身に降りかかる災いを託して奉納するというもの。
毘沙門天像を本尊とする毘沙門堂の前には、狛犬ならぬ狛虎が配置されている。


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埼玉県道56号ふじみ野所沢線は、「芋街道」「六間道」とも呼ばれる印象的なケヤキ並木道。
古い農家の合間に気になる飲食店が点在していた記憶がある。
要衝の上富交差点に行ってみる。

昔のドライブインの雰囲気の和食のお店がある。


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「オアシスかどや」は、隣にある「料亭角家」のカジュアル部門。
そば・うどんを中心にリーズナブルな価格で食事を提供している。


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店内はゆったりとしたボックス席が6つ、ささやかなカウンター席もある。奥には広い座敷が2間。
小さな子どもを連れた家族にはありがたい。


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5種類ある丼物セットがお得っぽい。
まずはイカ天丼セット830円に決める。麺は温かい山菜そば。
もう1品に迷う。
セットに比べ、単品には割高感があるのだ。


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「セットでいいんじゃないの?」という僕に対し、なにやら警戒心が働いたらしい相方は慎重に吟味し、選択は牛重に。
ちなみに上記セットの牛丼880円に対して牛重は860円。この微妙な差が迷いを生むのである。


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まずやって来た牛重のお盆を見て、2品目もセットにしなくてよかったと安堵した。
量がものすごいのである。紅ショウガの。(←そこ?)
お重のふたを開ける前に威圧感が漂っている。


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イカ天丼セット。
天丼だけでも見た目、世間一般より多い。



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まあそんな感じで、その先は体力勝負、みたいな(笑)。


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イカ天丼は見た目以上にご飯が多い。どんぶりの曲面がゆったりしてるというか、収容力があるというか…。
大きめのイカ天のほか、ナス、カボチャ、シシトウ、ニンジン、ブロッコリーと、ネタの種類も潤沢。
下町風のもったり感がよい。

山菜そばは、さすがに量は少なめだが、ファミレスレベルを予想していると、もうちょっとはちゃんとしたそば。


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持ち分のセットをこなしたあと、牛重が回ってくる。4割ぐらい残ってる…。
一気にかっ込むが、重箱の隅問題というか。隅のスペースに意外に収容力があるというか…。
ほどよい甘味の牛丼のつゆは、ピンポイントに好みの味ではある。


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チェーン系ファミレスの看板のいまだ掛からない六間道の並木道に、昔スタイルのファミレスの姿は自然に溶け込んでいるのである。


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[DATA]
お食事処 オアシスかどや
埼玉県入間郡三芳町上富1167



[Today's recommendation]

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Oasis
『Oasis(Definitely Maybe)』 by Huey Lewis & the News

https://www.youtube.com/watch?v=i_2mWhfOhGU



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いまに残る貴重な自然と風景と、ラーメンと 【一元】

2018.04.05

 早春、他に先んじて花を咲かせる草本のうちには、活動期自体が短く、5月ごろには地上部が枯れて長い休眠期に入るものがある。これらは「スプリング・エフェメラル」(Spring Ephemeral;直訳すれば「春のはかないもの」)と総称される。「春の妖精」とも。
多摩地域で見られるものとしては、キンポウゲ科のアズマイチゲ、イチリンソウ、ニリンソウ、ケシ科のジロボウエンゴサク、ユリ科のカタクリ、アマナ、ヒロハノアマナなどがある。
特に、可憐な紅紫色の6弁花をいっせいに咲かせるカタクリは人気が高く、武蔵村山の野山北公園や清瀬の中里緑地の群生地には毎年多くの人が訪れる。

夏日が2~3回と異常な高温が続いて、今年カタクリを見に行っていないことに気づいて焦った。
去年の自分の記録を見てみると、4月13日の中里緑地で「見ごろをちょっと過ぎていた」とある。清瀬市のHPには「きよせカタクリまつり 3月31日~4月8日」のお知らせが載っている。
まだ大丈夫かな…?


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わずかに残っていたA地区のカタクリ


空堀川沿いのA地区。ジロボウエンゴサクやクサボケが花をつけ、ヤマユリ、ウバユリ、ギボウシ類の芽出し。斜面に紅紫色は認められない。カタクリの花はほとんどしぼんでしまっている。
すれ違った女性が「終わっちゃってますねー」と。
清瀬四小向かいのB地区、せせらぎ公園下流のC地区も状況は同じ。このところの高温が響いて、去年よりさらに2週間ほど花期が早まったようだ。


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ジロボウエンゴサク、クサボケ、イカリソウ


帰り、知らない道を走っていると雑木林の入り口に“ラン観察会場 清瀬市”の立て看板を発見。場所は… 上組稲荷神社の西の雑木林としかいいようがないか。
こちらはシュンランが見ごろで、小路の真ん中に大株が残っていたりする。
ほかにキンランとギンランが芽を出していた。


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シュンラン


清瀬市の西武池袋線の北側には、このように貴重な自然がところどころに残っている。
中里1丁目あたりの畑地からは武蔵野の雑木林と里山環境がしのばれる。

そして… ラーメン屋も、昭和である。


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志木街道沿いの「一元」は、数少ない昔ながらのラーメン屋さん。
中華屋はぽつりぽつりと残っているが、ラーメン専門店、それも鶏ガラの中華そば系となるとほとんど見なくなった。


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こちらには20年前ぐらいに一度入ったことがある。かなりのご高齢のおじいさんがやられていたと記憶している。
今回、久しぶりに入ってみると、かなりのご高齢のおじいさんがやられている。
うーむ…。


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こういうことはときどきあって、年齢の絶対値としてではなく相手との距離感で印象づけられる。たとえばこちらの店主と自分の年齢差が30年として、30歳年上は昔も今も“かなりのご高齢”には違いないということなんだと思う。
僕の“印象”、かなりいいかげん。


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注文はワンタンメン560円。
店内は、鋭角に曲がったカウンター10席ほど。
カウンターの天板や、麺ゆで大釜の立派な木のふたなど、ところどころ新しそうなので、最近改装したのかもしれない。


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お客さんは、僕の前に3人。
途中、小学校低学年くらいの男子が勝手口から入ってきて、もじもじしながらお店のお母さんに何か手渡している。
「…ばあばが持っていけって」
トトロのカンちゃんみたいだ。
すぐにおじいさんも入店。2人で僕の横に座って「ワンタンメン2つ、うち1つ大盛り」と注文。


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BGMは後ろのCDラジカセの歌謡曲。
『浪曲子守唄』『昔の名前で出ています』『北へ』『兄弟船』…と、自主編集の統一感のなさ。
〽こ~おべじゃー なぎさとぉー…
と、隣のおじいさん、気持ちよさそう。


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続いて、小学生の姉弟を連れたおばあさんが来店。注文は「ワンタンメン3つ」。
僕の分から6杯連続でワンタンメンだ。

こういうお店に春休みのお孫さんを連れてくるおじいさん・おばあさんって、なんかいい。
孫や社会に媚びていない。


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ワンタンメンは、何も特別なところがない普通のラーメン。
やはり貴重な昔ながらのラーメン屋である東久留米「大吉」の店主が「こんなの、ただのラーメンだよ」と言っていたのを思い出した。

すっきりと心に沁みる、ただのラーメンである。


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[DATA]
一元
東京都清瀬市元町2-4-12



[Today's recommendation]

Akira Kobayashi
Akira Kobayashi
『Zenkyoku Shu』

https://www.youtube.com/watch?v=rhCubEfRcuw



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東京都下で、小旅行 【増本】

2018.04.01

 先日、国立・谷保のお店の記事を書いていて、駅の南側にしばらく行っていないことに思い至った。

駅南には街のシンボルである東日本最古の天満宮「谷保天満宮」がある。
天満宮は多摩川の河岸段丘(立川段丘崖)に位置し、大鳥居が崖線の上、本殿へは階段を下る。
その向こうは氾濫原で、府中用水沿いには「谷保田圃」と呼ばれるのどかな田園地帯が広がる。
いまの時期なら城山のニリンソウ。用水のあたりではそろそろ揚げひばりが見られるかもしれない。
その光景は国木田独歩『忘れえぬ人々』のごとくに心に刻まれているが、風景は覚えているが人々は忘れてしまった。忘れちゃダメだろう(笑)。

以上は10年以上も前の自分情報。
いまどうなっているか、確かめに行くことにした。

府中用水の水源の一つ、矢川を水源から下って谷保田圃、天満宮、国立というルートを設定。
国立駅前の駐輪場に自転車を置いて矢川駅まで電車で移動。矢川の主水源の矢川緑地から歩き始めるという計画だ。


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国立市城山さとのいえ パンフレットより


国立駅に歩け歩け的人々が群がっている。“国立・立川さくらウォーキング”というイベントの受け付けの列らしい。いやな予感がした。
立川駅の乗り換えの20分近い待ち時間に相方がググる。
イベントのコースは“…矢川駅前さくら並木→郷土館→ママ下湧水…”と、この区間、モロかぶり。
人のいない田舎道を歩く、というのが本日のテーマなので、これには参った。
まぁ、行くだけ行ってみよう。


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10:29 矢川駅――踏切を挟んで、早くも歩け歩け先頭グループと遭遇。
しかしこの人々は真っすぐ南下しているもようで、僕らの目的地である西の矢川緑地方面へはまったく人けがないので一安心。


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そしてその先、緑地には豊かな湧水の湿原、そこから流れ下るきれいな川という、平成時代の東京都とは思えない風景が広がっていた。


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矢川緑地


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以上、くにたち郷土文化館まで、立川崖線上の矢川流域の風景


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ママ下湧水付近


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城山公園


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谷保田圃から天満宮へ


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谷保天満宮


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谷保駅


散歩コースというより小旅行気分を味わえる素晴らしいエリアだが、ネックはたべもの屋がないこと。
けっこう歩いてハラペコのところ、最後上りだからキビシイ。おにぎり持参は必須。


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谷保駅北口のレトロ商店街にある、ずっと気になっていた中華屋さん「増本」に。


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注文は、五目そば900円、硬やきそば800円、餃子400円。


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こちらはテレビドラマのロケに使われたとかで、パネルがが飾ってある。
ドラマ見ないから、そのへんの情報はよくわからない。


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店主はラグビーの大八木淳史似で、一見コワモテだが、口を開けば実に優しそうなおやじさんである。


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五目そばの具は、チャーシュー、メンマ、ゆで卵、かまぼこ、なると、豚コマ、ニンジン、キャベツ、ホウレンソウ、…、で、五目やきそばも主体のモヤシのほかはだいたい同じ。
五目そばのシンプルな塩味に、実力の高さを感じる。


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焼きそばは揚げた太麺で、最後までモチモチ。こちらもあっさりな味付けが好き。
ニラたっぷりの餃子は、懐かしくも優しい味わい。


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日本の原風景をめぐる散策のあと、自分の原風景的中華屋さんに行き着く。


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一橋大学


[DATA]
増本
東京都国立市富士見台1-8-7



[Today's recommendation]

Andrew Davis
『British Orchestral Works』
Andrew Davis(Cond) / BBC Symphony Orchestra

https://www.youtube.com/watch?v=IOWN5fQnzGk



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◆ 猫写真はこちら



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4月1日、矢川緑地


Chuo Line 喫茶店カレー 【ファーム】

2017.06.15

 喫茶店カレーというものも昭和レトロな食堂文化を語るうえで欠かすことのできない重要カテゴリーだ。うまいまずいはおいといてハコの雰囲気・空気感を味わう、と以前書いているが(グリム館 参照)、もちろんおいしいお店が少なくないことは知っている。
老舗喫茶店が昭和の文化を色濃く残すように、30年以上にわたって作り続けられてきたその積み重ねがおいしさの秘密なんだと思う。独立系カレースタンドをほぼ見かけなくなったいま、昭和のカレーの味を伝える貴重な存在でもある。


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去年入った店としては、吉祥寺の「武蔵野文庫」、国分寺の「ほんやら洞」、国立の「ロージナ茶房」などがあるが、そのように中央線沿線はこのジャンルのメッカであり、御茶ノ水・神保町周辺を含めこのラインには有名店が多い。
今回、老舗感は薄いがそれなりにレトロな雰囲気が期待できる国分寺の「ファーム」へ。

2階の店舗への上り口にいきなりカレーの看板があるほど、もろカレー押しの店である。しかも「大盛」「メガ盛」の文字。去年ロージナ茶房で大変なことになってしまった反省から、そういう危険な文字情報はなるべく見ないようにする。


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店内は入り口部分が狭く、通路とカウンターが左右に伸びる。通路の先、左奥と右の窓際が広い空間になっている。窓側は4人テーブル4脚に大テーブルと、思ったよりも広い。比較的すいていたので、いちばん手前のテーブル席に座る。
使い込まれた無垢材のテーブルセットや、さりげなく配置された絵画・イラストが、しゃれた落ち着いた空間をつくる。BGMのジャズギターが心地よい。
昭和の学生街の喫茶店の雰囲気を残す。

僕の後ろのテーブルに高齢女性2人組、大テーブルに中年女性。店員はアルバイト風の若い女性2人。女性に囲まれてしまっている…。急速に“場違い”という思いが頭をもたげる。
タバコの臭いが漂っているが、背後の2人組だろうか。新たな客が入ってきたが、これも若い女性。タバコを吸うかと聞かれ、吸わないと答え左奥に通された。あっちが禁煙席なのね…。


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自家製カレー普通盛り(200g)630円+税。
カレーはよく煮込んであって具材はほぼ崩れている。サラッとした感じではなくグダッというソースに、ゴロッとした豚肉2片は程よい軟らかさ。野菜の甘味が強く、辛くはない。香り調整用の配合スパイスが付く。
横に添えられたサラダには甘いごまドレッシング。シャキシャキ野菜とカレーとのバランスは悪くないと思う。
好きなタイプのカレーだが、ちょっと味が濃すぎるかな。ただ、それは最近どこのカレーもそう感じるので、こちらの問題なのかもしれない。

いちばん量が少ない普通盛りだからすぐに食べ終わる。でもサラダもそこそこちゃんとしているし、少ないとは感じない。
問題は、性格的にゆっくりできないこと。場違いを意識してしまったのもあるが、そもそもがせっかちで早食いだ。
喫茶店滞在時間12分は、あまりに短い。


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[DATA]
ファーム
東京都国分寺市本町2₋2-9



                                        

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ネジバナ[モジズリ](萩山団地)


優しい人々 【萬栄軒】

2017.06.11

 1948年創業の荻窪のラーメン店「丸長」の系譜で、その暖簾分けグループ「丸長のれん会」に名を連ねる「萬栄軒」。
昭和の終わりの荻窪ラーメンブームの一翼を担ったこの系列であるが、私はかつて荻窪駅前にあった「丸信」と、四面道に現存する「丸信」に数回ずつ入ったことがあるのみ。ほかに守備範囲内では谷保の「丸信」がある。
ちなみにかの有名な東池袋の「大勝軒」もこの系列で、そのルーツである代々木上原大勝軒、中野大勝軒とともに名簿に載っていることから、丸長のれん会のグループ店を食べ歩くラーメンファンもいるとか。


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上の情報は漠然と知ってはいたが、特に興味はないのでその方向でイメージを膨らませることもなく、ただときどき前を通るこの萬栄軒は、情報ではなく現物としてそのたたずまいが気になってはいた。そして何となく、普通の街の中華屋で、店主には脂ぎった小太りのおやじなんかを想像していた。
入ってみると、店内は思っていたよりも狭く暗い。4人掛けテーブルと2人掛けテーブル各1、カウンター実質4席。中華屋というよりも、それこそ荻窪ラーメンブームの時代の中央線沿線あたりのラーメン屋そのものである。われわれの世代にとっては非常に懐かしい雰囲気。
厨房に立つのは60代だろうか、背の高い女の人である。

僕と同時に2人組のおじさんが入店。カウンター席に座り、左の人が「チャーハン」と注文すると、右の人が「同じものにしたほうがいいかな?」と聞く。お店の人は「何でもいいですよ。お好きなものを召し上がってください」
客も店側も気配りの行き届いたやりとりなのである。
僕はカウンターの実質右端に座ってワンタンメン650円を注文。


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ふと見ると、調理場の女性の後ろ、居室と思われる部屋の上がり口におばあさんが腰かけている。おそらくお母さんかお義母さんだろうから相当のご高齢で、背中がかなり曲がっている。古い常連客の話し相手にでも待機しているのかと思った。
おばあさんはおもむろに立ち上がり、ゆっくりした動作で手伝いのようなことを始めた。コップを洗ったんだから明らかに仕事をしている。
カウンター裏の天袋から何かを取り出した。そうすると背中が伸びるから、案外背が高く、この人も元は長身だったのかもしれない。2人顔を並べると、そっくりである。
お母さんはそのあと、後ろの棚からラーメンどんぶりを下げ、そのもっと上からチャーハンの皿やギョーザの皿を下ろし、上がり口に腰を下ろして一休みかと思ったらそこにある釜からチャーハン用のご飯をよそっている。いろいろ仕事があるのだ。
娘さんが目の前で僕のワンタンメンの仕上げのトッピングをしている最中、僕から見えない右奥のほうからチャーハンを炒めるジャッジャッという音が聞こえてきた。娘さんを見返すと、やっぱりワンタンメンに取りかかっている。驚くことに、チャーハン担当はお母さんのようなのだ。
老年医学の世界では最近、フレイルという概念が急速に浸透した。フレイルティスコアで評価すればそういうことになると思うが、にもかかわらず現役バリバリの職業婦人である。こういう場合、QOLをどのように考えればいいのだろう? 医者の世界の常識をひっくり返すアッパレなお母さんなのだ。


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隣の2人組は途中から娘さんと話を始め、どうやらかなりの常連のようだ。仲間が今日先に来ていたらしく、何を食べたかというような話をしている。
「皆さん定年退職で、すごく優雅な生活をしていらっしゃって」と娘さん。その一例として「〇〇さんはよく、『9時に公園に行って、10時に飲み始め』と(笑)」
「それが彼の土日の日課(笑)」と右のおじさん。
この娘さんの会話はしゃきしゃきで、反応がよく機転も利くが、常連相手に一貫して丁寧語である。非常連客(僕)にも疎外感を抱かせない、とても感じのよい客さばき。
「男の人は皆さん優しいですよ」と言う。横の2人もとても人がよさそう。こういうのを類友というんだろうなと思った。

ワンタンメンは思ったとおりの懐かしの味わい。麺はストレートのやや太め。ワンタンは、こういう店には珍しくひき肉がぎっしり詰まっている。チャーシューは噛み応えがあって肉の風味が残る昔のタイプ。
少し食べて気づいたのだが、意外に量が多い。気を引き締めてピッチを上げても、なかなか麺が減らない。
そして、はじめわからなかったが、ワンタンが異常に多い。食べても食べても減らない。っていうか、増えてる(笑)。重なっていたのがどんどん湧いてくるのである。そしてこのワンタンが熱々。焦ってワンタンに取りかかったら、あっという間に汗だくになってしまった。完全に余裕を失い、横の会話を聞くどころではなくなった(笑)。
まさかワンタンメンを汗だくになってやっとの思いで完食することになるとは思ってもみなかった。
2人組は空いたテーブル席に移っていたが、見るとチャーハンもすごい量だ。

お勘定のときのやりとり。
「すごい量ですね」と僕。
「無理なさらないでくださいね」と娘さん。
「ワンタン、何個入ってるの?」
「13個」
「うわぁ…(笑)」

また一つ、いい店を見つけた。


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[DATA]
萬栄軒
東京都西東京市東伏見5-9-23



                                        

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ネジバナ[モジズリ](滝山団地)


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排骨? 骨付? 大肉? の点と線 【弘華飯店】

2017.05.27

 お店に入るなりお母さんに「そこがいいんじゃない」と席を指示され、「いまメニューもってくるね」と言うから壁を指さした。
「チャップ… チャーハン? 麺?」
「麺」と僕。

去年初めて食べたラーメン類でベスト3に入るのがここ「弘華飯店」の大肉麺(チャップそば)。そしてこちらの大肉炒飯(チャップチャーハン)は、去年初めて食べた炒飯類でベスト3に入る。

大肉(チャップ)とは豚の肩ロースに味付けをして油で揚げたもの。一般的に排骨(パイコー;パーコー)と呼ばれているあのものと同じと考えてよい。ちなみに「排骨_大肉」で検索をかけると中国語のサイトがずらーっと並んで「アワワワ…」となる。
ラーメンの世界では肉の万世で有名だが、ここでは万世タイプではなく弘華飯店タイプ、すなわちカレー風味のものに限定して話を進める。


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かつて僕の故郷にこれを出す中華屋があり、その店では「骨付(ほねつき)肩肉」と呼んでいた。骨付炒飯と骨付ラーメンのほか、メニューには載っていないがホウレンソウと炒めて甘酢あんかけにしたものをご飯にかける料理があって、われわれ常連はそれを「ホウレンソウ白ご飯」と呼んで骨付シリーズの最上位に位置づけていた。

さて、いま現在の武蔵村山に戻るのだが、目の前でお店のお母さんが食べ始めたまかないが、まさにそのホウレンソウ白ご飯だ。客の食べているのよりランクの高いものを目の前で食べちゃダメだろう(笑)。
この店では大肉会飯(チャップめし)となる。
お母さんはさっき僕の大肉麺のオーダーを通すときに「チャップめし」とも言っていたから、ついでにまかないも頼んであったのだろう。

田舎の僕の好きな料理は東京のわが家の定番となった。ただし、前日から仕込まなければならないなど手間がかかるから、妻はそう頻繁には作ってくれない。ちょっと特別なごちそうという感じで、これが出ると子どもたちも大喜びする。


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カレー風味×甘酢あんかけの魔力に最初に気づいたのは誰なのだろう? 興味深いサイトを発見した。

http://www009.upp.so-net.ne.jp/sannpei/pai_gu_fanno_buki_fang_shou_dou_quan_ban/nippon_pai_gu_fan_ye_mingke_qian_di_jiu_zhang.html

ここでは五香粉やカレー粉を使ったものに限定しているわけではないが、僕にとってのキーワード「横浜中華街」に鋭く切り込み、展開している。
弘華飯店も「横浜中華街の味」をうたっていて、それを見たときにピンとくるものがあった。
この記事の「日本で初めて排骨麺を出した店」というところにすべてはつながる気がするのだが…。

そんなことはどうでもいいとばかりにお店のお母さんはマイペース。僕のあとに若いお父さんと2人で来店した2歳の女の子の世話を焼いたり、店に入りそうになったスズメを追っ払ったり。まかないがなかなかはかどらない。
僕もおいしければそれでいいというたちなので、それ以上は突っ込まず、ただ郷里の店が閉店したいまとなってはこの店を静かに見守るだけである。


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[DATA]
弘華飯店
東京都武蔵村山市学園3-58-2



                                        

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サイハイラン、オオバノトンボソウ(狭山丘陵)


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